消滅時効完成までの期間とは
知らないと時として数百万円を損してしまうのが消滅時効です。
時効というと刑事事件のイメージが強いですが、民事にも時効は存在します。
会社が貸し付けたお金は請求できるとき(通常は支払期限)から5年が経過すると時効完成となります。借りる側から見れば、借金は5年の経過で時効が完成すると言い換えることもできます。
2020年4月1日以前は権利(債権)の種類に時効完成までの期間がマチマチだったのですが、同日以降に発生した権利(債権)のほとんどの時効完成までの期間が5年に統一されています(一部、例外もあるので注意が必要です。)。
上述のとおり、原則は5年なのですが、実務上よく見る例外が「判決を取られた場合」です。判決で確定した権利については、時効完成までの期間が10年になります。
消滅時効は「援用」しなければ意味がない
消滅時効が完成すると自動的に債務(借金)が消滅するかというとそういうことはなく、「援用」といって「時効が完成したからその権利を消滅させます。」という意思を相手に表示しなければならず、この援用をもって初めて債務(借金)は消滅します。
この援用に関して特に注意しなければならないことがあります。それは、「時効完成後にお金を払ってしまったり、払うと約束したりすると、もう援用はできない。」ということです。これは判例で決まっているルールです。なので、時効完成後、お金を支払いたくないのであれば、支払いをしたり、支払う前提の話をしないようにしなければなりません。
サービサーといった債権回収会社などは、消滅時効が完成した債権を譲り受けて請求してくることもあるのですが、その請求額が200万円の場合、的確に「援用」できれば200万円の債務を負うことはなく、逆に上記のように援用前に支払いなどをしてしまうとそのまま200万円の債務を負うことになってしまいます。「知っているか否か」で大きな差が生じてしまいますので注意が必要です。
更新と完成猶予
待っていればいつかは必ず消滅時効が完成する・・・ということはなく、承認(弁済が典型ですが、債務を認める行為であればこれに限られません。)があると消滅時効は更新(また1から計算し直されること)されます。
また、完成猶予といって、ある事由が発生している間(また、発生後の一定期間)は時効が完成しないという制度もあります。
このように、一概に5年が経過していれば全て消滅時効が完成しているとも限りません。
まとめ
以上、消滅時効は「5年を経過していれば権利が消滅する。」という単純なものではありませんので、本当に消滅時効が完成しているのかどうかも含めて、法律専門家である弁護士に相談された方がよいでしょう。
以上